桶槽工業株式会社は「どんな小さなことでも、着実に何かを成し遂げたい」という思いでお客様に接してきました。稲垣社長が「お客様を大事にしてきた」と自信を持って言い切ることができる理由は、会社が100年以上ものあいだ存続している歴史と、実績が証明しています。お客様が困っていることはなんでもする。それが会社の主たる業務ではなかったとしても、自分たちにできることなら何でもする。人が嫌がるような仕事でも笑顔で引き受ける。「何かあったらすぐ連絡する御用聞きや便利屋のように思ってくれていいんです」。その姿勢がお客様の信頼を得てきました。
企業理念を浸透させることは簡単なことではありませんし、教育に近道もゴールもありません。社内全員が実践できるよう稲垣社長が心がけていることは、特別なことではなく、気付いた時にその都度言って聞かせること。「しつこく何度も繰り返し言うこと。それが躾です」と稲垣社長はおっしゃいます。
稲垣社長が大切にしていることの一つに「言葉」があります。「そのひと言が人を生かしも殺しもする」。こういう言い方なら人は気分が良くなる、こんな言い方をすれば気分を悪くさせてしまう、相手がどう受け取るかを想像して、言葉選びや伝え方を考えています。
お客様にだけでなく、地域や社会も大切にしています。例えば、会社がある町内のことは真っ先にやる。車を運転する時は速度を上げない、交差点では必ず一旦停止するなど、当たり前のことを徹底して行動するよう教育してきました。会社を一歩出れば、出会うすべての人がお客様になり得ると考えれば、横着はできません。
このような日々の地道で誠実な行動から、自然とご縁が広がります。お客様がお客様を紹介してくださったり、逆に、お客様にお客様を紹介したりします。大切なお客様に広報企画センターを紹介してくださることもありました。「オケソーさんの紹介なら間違いない」と思っていただけるのは、これまで培ってきた信頼があるからに他なりません。
誠意を持って仕事をしていると信頼される。どちらが客の立場か等ということは関係なく、誠実に対応すること。誰かの役に立てば仕事に繋がっていく。揺らぐことのない信念を持ってお客様に接してきたからこそ今の結果があります。
今後は新たなエネルギー分野で、人の暮らしに関わる事業にも挑戦していきます。その未来に向けて、イエスマンではなく異なった意見も言ってくれるような人、これからの会社を一緒に背負っていってくれる人と仕事がしたいと考えています。「仕事って結局、人と人なんですよ」と話す稲垣社長の優しい笑顔が印象的でした。
インタビュアー/株式会社Siren 菱田さつき