楽しんで仕事をする人は無敵

井村食彩園代表の井村真道さんが、広報企画センターにSNS活用の依頼をした目的は2つあります。1つ目は、いちじくの販路拡大。2つ目は後継者採用です。

もともと毎年購入してくださるお客様や、農園まで足を運んで買ってくださる方もいらっしゃいますが、現在稼働しているECサイトでさらに全国の皆様へお届けしたいという思いがありました。まず着手したのが、インスタグラムに収穫や作業の様子の動画を投稿すること。これまでも不定期に投稿はしていましたが、計画的にプロの手による撮影と編集で、コンテンツの充実を図りました。反応は良く、個人のお客様からの問い合わせや購入、他都道府県の洋菓子店からの発注もあり、出だしとしてはまずまずだと思います。いちじくの収穫時期は11月頃で終了になるため、今後は、ジャムやジェラートなどの加工品をメインにアピールしていく予定です。

 

後継者の採用については、課題も山積しています。農業は若手の採用が難しいうえに、さらに大変なのは育成です。天候の影響などで収穫の量も質も変動するのが当たり前という環境で、様々なトラブルに対処できるようになるには年数かかることもあります。「10年かけてじっくり育てる覚悟ですよ」と井村さんは話します。採用媒体も使用していますが、SNSで特に発信したいのは、井村さんの農業にかける想いです。その想いに共感してくれる人に出会いたいと発信を続けています。

井村さんが求める人物像は、とにかく農業が好きで、中でもいちじくを愛して育ててくれる人。農業は作物ができるまでの間に多くの手間が必要です。水やりから草刈り、病気や虫への防御、予想ができない天候変化への対応など、それら全てを楽しめるかどうか。農業が好きで、畑にいることや自然と触れ合うことが楽しいと思える人と仕事がしたいと思っています。「楽しんで仕事をしている人には勝てない、好きだからやれるって無敵ですよ」と、井村さんは笑顔で話してくれました。

 

現状は農業を営んでいるうち、家族経営が96%を占めています。しかし、経営難や高齢化などによる離農が続いていて、そこから脱却していかないと日本の農業は発展しないのではと井村さんは危惧しています。そこで、今後もInstagramYouTubeを利用して農業の素晴らしさや楽しさを発信していき、若い年代の人たちに興味を持ってもらいたい。10年後には、後継者も育ち、さらに自分で農業をやっていきたいという若者が井村食彩園から育っていってくれれば嬉しいと考えています。

後継者が育ち経営を任せられるようになっても、井村さん自身はきっと畑に出ているだろうと想像しています。「動けるうちは、80歳だろうが90歳だろうが畑に出ていると思いますよ。畑に出ない人生なんて考えられないでしょ」と話す井村さんの笑顔からは、農業といちじくに対する愛情がひしひしと伝わってきました。

インタビュアー/株式会社Siren 菱田さつき

ページの先頭へ戻る